梅原龍三郎と彼末宏
昭和の美術画壇を豪放磊落に牽引してきたのは梅原龍三郎(1888-1986)であるが、その魂を引き継ぎ、拡大させていったのは紛れもなく彼末宏(1927-1991)であろう。
彼末宏は東京藝術大学で梅原龍三郎教室に在籍し、首席で卒業したのち梅原龍三郎の直系である久保守について学んだ。双方の作風で共通するのは対象と対峙した時の感動が華やかな色彩に表れている点にある。
梅原龍三郎の色彩は全体的に明るく、強さが目立つが、彼末宏の作品はその強さはそのままに色相を限定して自身が好きだという音楽の要素を織り交ぜて絵画として発展させている。当時の洋画壇における課題に実直に対峙し、独自の答えを導き出しているのである。